良い作品は二度見た方が良い理由

映画
映画「すずめの戸締り」ポスター

すずめの子はなれなかったけど

すずめの手で元に戻して

ダイジン 映画『すずめの戸締まり』

二度見る事は時間の無駄?

よし、本を読み終えた

大作だとちょっとした達成感がありますよね

皆さん余韻と読後感を楽しむでしょうか

そしてもう一度最初から!

・・・って思う人はまれですよね

でも、二度目がまた新しい発見につながることもあるのです

二度目の『すずめの戸締まり』

休みの朝

起床してダイニングへ、するとテーブルの上に映画館のポイントカードが

え、何か見たい映画あったっけ?

私は首をかしげる

そのカードを手にとっていると娘がもじもじしながら言ってきた

「お父さんと『すずめの戸締まり』を観に行きたい。」

え、あなた今度は三度目じゃないですか?

 

注意

若干の映画ネタバレを含みます

これから鑑賞予定の方、内容は知りたくない方はそっとページを閉じて頂けると幸いです

ストーリーを理解しての鑑賞

初見の時の感想も本ブログで紹介しております

ぜひご覧になってみてください

私にとって今回は2回目の鑑賞でした

2回目は本当にいろいろな発見がありました

  1. 初めて草太にあった瞬間の目の輝き。塗りつぶされた記憶の中の出会いが思い出されたのか
  2. 塗りつぶした過去を思い出す時、クレヨンで塗りつぶされた枠で表現
  3. 東京にミミズ出現の時、人間の目には見えない。でもビルのガラスにモヤのように映っている
  4. 環さんとの本音の喧嘩の時にダイジンが常に映り込んでいた
  5. 幼き頃のすずめは、地震当日でなく、母を行方不明から何日も探していた後で『常世』に入り込んでいた
  6. 常世で要石になっている草太。ダイジンが黄色い椅子の足にかじりついて抜く手伝いをしている意味
  7. 死んでもかまわない。草太さんのいない世界が怖い。からの『死にたくない。生きたい』!への気持ちの変化

まあまあここまで酷く見逃していた事実に愕然としました

作品はミスリードを楽しむもある

人間は見たいものしか目に入りません

映像で伝える事が多い新海監督作品ですと、意図を理解することが一回ではかなり困難です

監督は製作時は当然、最後までのストーリーが完全に頭に入った状態でパーツをつなげていきます

ストーリーの中には驚きを与えるためのミスリードも多く含まれています

伏線回収もそうです

『あ、このシーンはあのシーンとつながるんだ!』

という『アハ』体験は鑑賞の刺激にはなりますが、監督の意図を理解するには邪魔になります

監督の想いを探す旅へ出発

さあ、ストーリーを理解しての2回目鑑賞です

鑑賞のポイントは『監督の想い』です

いや、それを想像しての『個人の妄想』かもしれませんが

 

3回目の娘は2羽のモンキチョウに意識を強く向けていました

どこで現れて、どこで消えるのか

『常世』で幼きすずめを見つけた時からずっと2羽はすずめによりそっていました

そして椅子を示し、語り掛ける時も共に

そして、すずめが明るい未来を確信した瞬間に柔らかな風と共に姿を消しました

それは私の娘にどんな想いを届けたのでしょうか?

ダイジンの気持ちに寄り添う

父が2回目で特に意識を向けたのは『ダイジン』でした

暗い一人ぼっちの氷の世界から解放してくれたすずめ

すずめは『うちの子になる』っと言ってくれた

一人ぼっちの自分に無償の愛を捧げてくれた存在

東京で草太を要石にした後、すずめと幸せに暮らせると信じていた

しかし結果は

二度と姿を見せないで・・・

大嫌い・・・』

そういってすずめに放り出され、またやせ細ってしまった

 

その後、『ダイジン』は芹沢の車で環さんと一緒にすずめの『常世への入り口』を共に探す旅に同行する

道中、環さんが左大臣の力で心の奥底の闇が表に出てしまう

この時、すずめと環さんの会話シーンに全て『ダイジン』の姿が映り込んでいる

すずめは環さんに言う

「うちの子になろうって言ってくれたじゃない。」

「知らないわよ、そんな事!」

すずめが『ダイジン』にした仕打ちがそのまま環さんから投げつけられた屈指のシーン

私はその時、この会話を聞いていた『ダイジン』の気持ちにシンクロしていた

 

その瞬間、やっと理解が出来た

孤独の氷の世界から自由を得た『ダイジン』

それがなぜ、また『要石』に戻ることを決心したのか

ここでも上手く言葉であらわすことは出来ません

でも私の『こころ』があの要石に戻るシーンにつながりました

 

羊朗と会ってからのすずめの『こころ』の変化はとても目まぐるしかった

『死ぬのは怖くない!草太さんのいない世界が怖い・・・』

淋しいでも悲しいでもなく、喪失を怖いと言うすずめ

『草太さんを助ける!代わりに私が要石になる!』

母の喪失から、死よりも恐ろしい物があることを知っているすずめ

要石の草太を引き抜こうとするすずめ

しかし抜けない

それを見ていた『ダイジン』が椅子の足に嚙みついて引き抜く手伝いをする

きっと黄色い椅子の無限の旅で何度も『ダイジン』にこの椅子の足は噛みつかれたのでしょう

一本が壊れて無くなってしまったのもこの繰り返しが理由だったかもしれません

そして要石の椅子がぬける瞬間、すずめは言う

「生きたい!」

歴代の要石たちの亡骸の骨に囲まれた草太の目の前の扉が開く

そこには手を伸ばしたすずめ

草太も想う

「生きたい!」

凍った身体から渾身の力で手を伸ばす

すずめの手が草太の腕を引き抜く

草太が立ち上がる

滑る腕

2人の手が離れてしまう

もう一度、強く、二人はお互いの腕を強く取り合う

『共に生きる決意』

あのシーンにそれを思うのは考えすぎでしょうか

もちろんそれは男女の恋愛などという小さな枠ではありません

共に生きるとはそれほど重いのです

 

『ダイジン』は要石に戻りました

たった一人でまた孤独の世界に戻りました

凍って眠る『ダイジン』

それでも『ココロ』はすずめへの想いで満たされているのでしょうか?

 

「すずめの子はなれなかったけど

すずめの手で元に戻して。」

 

すずめの幸せを喜ぶ幸福

もうすずめに会えない不幸

この2つを抱えて悠久の時を、たった一人で『ダイジン』は過ごすのでしょうか

 

最後までお読みいただきありがとうございます

こころが変われば世界が変わる

人生のこの瞬間に感謝を

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