永遠をともに歩む両親の気持ち

映画
映画「すずめの戸締り」ポスター

すずめ、あなたはもう大丈夫、幸せになってね

すずめ、今度はあなたを見守るわ

注意

若干のネタバレを含みます

これから鑑賞予定の方、内容は知りたくない方はそっとページを閉じて頂けると幸いです

どこに気持ちをよりそわせましたか?

新海誠監督の最新作『すずめの戸締り』

みなさん御覧になったでしょうか

震災モチーフのインパクトばかりがクローズアップされてます

でもそれだけではもったいない

そう感じませんか?

2羽のモンキチョウ

すずめの顔のそばをせわしなく舞う2羽のモンキチョウ

現世と常世を行き来出来る不思議な存在

すずめが草太と出会うその日の朝に

2羽のモンキチョウは伝えます

「これから大変な事が始まるよ

何度もくじけそうになるかもしれない

でもすずめなら大丈夫

信じているよ」

2つの要石が抜けて

右大臣、左大臣、両方の要石が抜けた

もうミミズを抑える事は出来ない

東京の大地震を止める術はもうない

この時モンキチョウが飛び立った

「すずめ

すずめ

すずめ

頑張って

頑張って

頑張って・・・」

2羽のモンキチョウは、もうすでにすずめが限界まで頑張ってると知っている

それでも頑張ってとしか言えない無力さ

すずめは言った

「死ぬのは怖くない!」

自暴自棄の言葉ではない

自分が死んでしまうよりつらいことがあると彼女は知っていた

それを聞いた2羽のモンキチョウはどう思っただろうか

常世で過去の絶望した自分と出会う

草太を無事に助け出したすずめ

現在過去未来の区別がない、誰もいないはずの常世

そこにうずくまった人影が

幼き頃の

過去の

幼き自分自身であった

その時の絶望を覚えているすずめ

かける言葉が見つからない

その時

2羽のモンキチョウは、すずめを母の想い出の黄色い椅子へといざなう

母から愛された証し

ともに旅をし、多くの人と心を交わした証拠

死よりもつらい深い絶望の中にあったとしても

未来の素晴らしさはこの椅子が証明してくれた

すずめは黄色い椅子を手渡し幼き自分と自分自身の背中を押した

すずめを送り出し、またすずめを見守る

すずめは幼き過去の自分に宣言した

絶望した幼きすずめにウソはつけない

未来の自分が幸せであることを証明しなければならない

彼女は大きく一歩を踏み出した

その一歩がすずめの待つ現世への強い風となった

2羽のモンキチョウはその風に飛ばされていった

 

「すずめ、あなたはもう大丈夫、幸せになってね」

 

残された幼きすずめは真っ黒な絶望の中

消え入りそうな希望のともしびである足の欠けた黄色い椅子を握りしめて現世に帰る

この後、環さんに見つけてもらうのだろう

2羽のモンキチョウは『また』幼きすずめと共に行く

永遠の時の中で

黄色い椅子は何度すずめからすずめにバトンタッチされたのだろう

そしてこれから先、何度バトンタッチされるのだろう

椅子は長い旅の末に一本の足が欠けている

これから先、永遠の旅を続ける間に壊れて最後は塵芥(ちりあくた)になるのだろうか

2羽のモンキチョウもずっとこの旅を続けるのだろうか

2羽の気持ちを想う

その悠久の時間を幸せと想うのだろうか

そして永遠に繰り返して言うのだろうか

 

「すずめ、今度はあなたを見守るわ」

 

最後までお読みいただきありがとうございます

こころが変われば世界が変わる

人生のこの瞬間に感謝を

 

新海誠監督

本当にありがとうございました

コメント

タイトルとURLをコピーしました