過去を変えたら今の幸せがなかった？私が気づいた大切なこと

私たちがなりたい自分になるためには、

なったことのない自分になる勇気が必要だ。

しかし、なったことのある自分を否定することは、

自分自身を否定することになる。

アブラハム・マズロー

過去に戻りたい気持ち

皆さんは今の自分に十分満足していますか？

もし、あの時、ああしておけば

過去を振り返ったときにそんな思いが『こころ』をよぎる事

ありませんか？

ゲームのようにリセットしてやり直したい

でも、それって本当にあなたの願いをかなえてくれるのでしょうか

学校環境の変化

和彦（かずひこ）は８歳の息子の陸斗（りくと）の英語の宿題に悪戦苦闘していた

和彦の時代、英語の勉強が始まるのは中学１年生からであった

しかし、時代は大きく変わった

今は小学校１年生から英語の授業が始まる

しかも、友達にはネイティブの英語を話す子供もいる

学校の授業だけではとても足りない

子どもの環境の変化

教えながら、和彦は過去の自分を思い返していた

　

「子供の時ってこんなに勉強してたっけ？」

　

和彦の子供時代、

子供が率先して、一人で家で勉強するなんてありえなかった

なぜならそれが必要だとは思わなかったから

みんなと日が暮れるまで近所の遊び場をかけずりまわっていた

今思えば、危ない事もたくさんしてたな

そうして日々は走馬灯のように過ぎていった

父親の役割の変化

和彦の『こころ』のタイムスリップは続く

　

『父親ってこんなに子供の勉強見たっけ？』

　

和彦が見上げていた大人たち

みんな仕事に忙しかった

土日だって普通に仕事をしていた

父親と過ごす時間なんて全然なかった

ましてや、子供の勉強を見る暇など父親にはなかった

　

　

時代が大きく変わったと思った

同時に、

『自分の子供時代にこれだけの学習習慣を身に着けていたら？』

そう思ったら眉間にシワがよっていた

過去を変えられるなら

陸斗が英語のテキストでなく、和彦の顔を不思議そうに見上げている

陸斗の視線が和彦を現実に連れ戻した

　

「お父さん、どうしたの？」

　

「いや、なんでもない

お父さんが陸斗と同い年の頃は、

こんな風に勉強しなかったなー

って考えてたんだよ。」

　

「ふーん、そうなんだ。」

　

「もし、陸斗みたいにお父さんが勉強頑張ってたらどうだったかな？

もっといい大学に行けたかも

もっといい会社に勤められたかも

もっとお金持ちになってたかも

陸斗の大好きな旅行もたくさん行けたかも

お金持ちのお友達もたくさんできたかも

もっと大きな家に住めたかも

もっといい・・・・。」

　

ここまで語って、また和彦はこっそりと笑みをもらした

陸斗がそれを見ていた

　

「お父さんどうして笑ったの？

何か面白い事思いついた？」

　

和彦は首の後ろで両手の指を組みながら天井を見上げた

そして小さな微笑みを浮かべたまま、陸斗の顔をじっと見つめた

　

「やっぱり今でいいや

勉強頑張んなくてよかったよ

毎日無駄に過ごして

いつもウジウジイライラして

人生空回りして

安っすい会社に就職して

アホして

バカして・・・」

　

和彦は陸斗の瞳の奥をのぞき込む

　

「だから、お母さんと結婚できたんだよ

だから、陸斗が生まれて来たんだよ

　

昔に勉強頑張ってたら、

陸斗に会えなかったもんな

バカなお父さんで本当に良かったよ！」

　

陸斗は不思議そうに和彦を見上げている

和彦は大きな笑顔だ

本当に幸せそうな笑顔だった

　

「このストーリーはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。」