出会いは試練であり救いである理由

子育て

・・・・

あの雲なのね

サヤ

将来の夢にむかって

皆さんは夢をお持ちでしょうか?

それとも、その夢を叶えたでしょうか?

将来の夢は成長と共に、その時々で変化していきますよね

幼いときは、特に職業も分からないので目に映る仕事に興味津々です

サヤちゃんの夢は叶うのでしょうか?

幼稚園が大好きなサヤちゃん

サヤちゃんは幼稚園が大好き

子供は朝が苦手なことが多いです

でも、サヤちゃんはいつも早起き

だって、はやくはやく幼稚園に行きたいから

どうしてそんなに大好きなの?

お母さんが聞いてもサヤちゃんは首をかしげるだけ

理由なんてないんです

満面の笑顔が答えです

だって大好きだから

サヤちゃん、幼稚園の先生になりたい

「幼稚園の先生になる!」

お母さんはサヤちゃんの夢をほほえましく聞いていました

今だけだろうとお母さんは思いました

でも、サヤちゃんは本気です

家のお手伝いもお片付けもがんばります

どうしてがんばるの?

だって幼稚園の先生は、いつもお手伝いもお片付けもするからです

サヤちゃんは先生のマネっこです

どうして?

だって幼稚園の先生になりたいからです

サヤちゃん、ピアノを習う

「ねえねえ、お母さん

サヤ、ピアノ、ひきたい。」

あまりおねだりしないサヤちゃん

お母さんもビックリ

幼稚園の先生がお歌でピアノを弾いてたのかな

お母さんはちょっと考えます

「そうね、サヤ、ピアノ、やろう!」

サヤちゃんは大喜びです

サヤちゃん、泣いてしまう

さっそくお母さん、ピアノの先生をさがす

家の近くに有名なピアノの先生がいた

お母さんはサヤちゃんを連れてピアノ教室へ

おばあちゃんが先生だった

サヤちゃんはおそるおそる人差し指で鍵盤を押す

音がなった

サヤちゃんは音がうれしくてどんどん押した

先生がニコニコしながら手を取った

先生が手の形を直す

サヤちゃんはきゅうくつな指でピアノの鍵盤をたたいた

音が出たけど、やりにくかった

でも先生はニコニコしてる

サヤちゃんは何かイヤだった

 

レッスンは毎週続いた

宿題もたくさんあった

サヤちゃんは幼稚園の先生になりたかった

だから

がんばった

がんばった

本当にがんばった

でも、イヤになった

サヤちゃんはピアノが嫌いになった

サヤちゃんはピアノをやめた

サヤちゃん、またピアノが好きになる

サヤちゃんはやっぱり幼稚園の先生になりたい

そのためにはピアノが弾かなきゃ

でもピアノは嫌い

でも幼稚園の先生になりたい

気持ちの堂々めぐりです

サヤちゃんはすっかり元気がなくなってしまった

お母さんも心配です

お母さんはピアノの先生をさがしました

今度は評判じゃなくて

お母さんの『足』で

お母さんの『こころ』で

サヤちゃんのために先生をさがします

お母さんの『こころ』がこの先生だと思った人が見つかった

 

サヤちゃんを新しい先生に連れていく

サヤちゃんはピアノの前で体がかたまる

ピアノの上に指を置く

前の先生に言われたように指を立てて強くひこうと

すると先生がそっとサヤちゃんの手をにぎる

優しくにぎる

いつまでもにぎる

サヤちゃんの力がぬける

先生、手をはなす

サヤちゃん、先生の顔を見る

先生は優しくほほ笑んでうなずく

サヤちゃん、ピアノの鍵盤を押す

優しい音がひびく

先生は無言でサヤちゃんの背中を優しくたたく

サヤちゃんはいくつも鍵盤を押す

いくつも

いくつも

満足するまで押した

満足したから先生を見上げる

「じゃあ今度はこの3つの鍵盤で遊ぼうか。」

先生はピアノの部屋から窓の外を見る

サヤちゃんもつられて外を見る

「サヤちゃんが好きな雲、先生に教えて

どんな雲でもいいよ

ふわふわ?

クリームみたいにおいしそう?

おっきいかいじゅう?

ひこうき雲?

サヤちゃんが思う雲

その3つの鍵盤で

先生に教えて?」

サヤちゃんは真剣にかんがえる

一生懸命かんがえる

サヤちゃんは意を決して弾く

たどたどしく、少しもどかしそうに

すると先生が高音の鍵盤を優しく弾き始めた

ビックリするサヤちゃん

手が止まって先生を見上げる

先生の片手は鍵盤に触れるか触れないかの小さな小さな音を奏でてる

あまった手でサヤちゃんが弾くようにうながす

サヤちゃんはまた弾きはじめた

二人の音色が交じり合う

それは透明な美しい音色

お母さんは窓から空を見上げる

そこには青空が透けて見える薄い雲が見えた

 

「・・・・

あの雲なのね

サヤ・・・」

 

お母さんは生まれて初めてピアノの音色で涙した

サヤちゃんはピアノが大好きになった

サヤちゃんは夢に一歩近づけたのだろうか

 

最後までお読みいただきありがとうございます

こころが変われば世界が変わる

人生のこの瞬間に感謝を

 

「このストーリーはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。」

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