たった一度の人生を豊かにする仕事の選び方

ビジネス

自分よし

相手よし

世間よし

そして、相手にありがとうと言われる仕事をしなさい

みんな一緒で幸せになりたい

他人を押しのけて自分だけが豊かになって幸せですか?

そう、自分の『こころ』の奥に聞けその答えは誰だって聞こえる

みんなで一緒に幸せな方がうれしい

なのに、どうして今の社会はこうなのでしょうか

みんなが間違ってると知っている

それなのに

唐傘(からかさ)職人の家に生まれて

和傘

傘 - Wikipedia
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典より

サユリは大学卒業を控えて就職活動真っ只中だった

とはいえ、緊迫感はなく

家でゴロゴロしていた

すると、いつもニコニコしてる節子おばあちゃんが珍しくお話をしてきた

それはいつもの優しい節子おばあちゃんからは想像の出来ない話だった

 

節子は会津の地で生まれ育っていました

節子の父は『唐傘』(からかさ)作りの元締めである『親方』

集落でもひときわ目立つ大きなお屋敷住まいで、何不自由のない生活をしていた

会津気質 職人気質

雨、雪の多い会津地方

傘のニーズは堅牢性の強い『唐傘』だったそうです

節子の父の工房には多くの職人達が出入りしていました

もともと寡黙でおっとりした性格の『会津気質』

仕事はしっかり

そして仕事が終われば・・・・

皆で楽しく『お酒』で宴会

子供時代の節子は飲んで騒ぐ職人たちはあまり好きではなかった

コウモリ傘が取って代わる

時代は流れていきました

そして、大きな転機が来ました

コウモリ傘が一般の人々にも普及してきました

紙でなく布を張った傘が安価で大量生産される時代が来たのです

 

紙は痛んだら張り替える

その頻度は布に比べたらとても多い

奥様の家は唐傘の生産も和紙の張り替えの仕事もなくなっていきました

屋敷も工房のすべて失う

仕事がなければお給金も支払えません

材料も仕入れられません

今の仕事は未来永劫続くと思ってお金を貯める意識もなかった

借金だけが膨らんでいった

そして

借金のカタですべてを取り上げられた

 

嵐のような出来事を子供だった節子は鮮明に覚えている

いや、子供であったから余計にだったかもしれません

物語だと借金取りはやくざのように乱暴者

そう思うかもしれませんが、実際は物静かな男たちでした

むしろ騒いで悪態をついているのは父であり母であった

その言葉は耳に聞こえてないのか、証文を提示して淡々と説明をする

何度も同じ説明を繰り返す

何度も何度も何度も

怒りはエネルギーを使う

父も母も時間の中で熱が冷めていった

最後は気持ちが氷のように冷たくなっているのが子供の節子にも分かった

 

その時、節子の記憶に一番刻まれたのはその借金取りたちの『目』でした

まるで蛇のような、トカゲのような

感情の全く宿らない無機質な冷たい『目』

それは父母兄弟、職人たちとは全く違う『目』でした

節子は、その『目』がとても恐ろしい物に感じられた

冷たい『目』

その後家族は別々に

一番上の姉と末の節子は一緒に親戚の家にもらわれていった

それまで親方の娘として何苦労の無い生活から一変

酷い理不尽やツライ思いもたくさんしました

不思議な事に、たとえ理不尽な言葉をぶつけた相手であっても、あの時の借金取りの『目』とは違っていた

節子は日々の生活の中で冷たい『目』をした人を見つける事が時折あった

その度に恐ろしい物に出会ったような気持ちになった

若いころは恐ろしくて恐ろしくて見つけると急いで逃げた

年を取ると観察する余裕が出てきた

節子は冷たい『目』に勇気を振り絞って向き合った

そして分かった

彼らは普通の人

ただ、生活のための仕事が『こころ』を押しつぶす仕事だった

『こころ』を切り離す

本来、人はみんな仲間

みんなで協力して仲良く生きていきたい

生まれながらにみんなそういう『こころ』を持っている

ところが、社会の秩序やルールを守るために人を追い込まなければいけない事がおこる

たとえ、それが正しい事であったとしても、

目の前の人がとても苦しんでいれば、自分の『こころ』は悲鳴をあげる

 

そう

あの時の借金取りも

仕事とはいえ、父と母の悲しみ、子供たちの離散の運命

それを心底考えてしまったら

『こころ』を痛めてしまう

 

だからそういった役目を負った人は『こころ』を切り離す

自分を守るために

でも

それはとてもつらい事

とても悲しい事

そう思ったら、あの『目』が怖くなくなった

今度はとても可哀想だと

せっかくのたった一度の人生をそんな可哀想な生き方をしないといけないなんて

涙がでるぐらい可哀想に思えてきた

 

サユリは節子おばあちゃんの話を真剣に聞いた

きっと人に話すにはあまりに辛い過去なのだと思った

サユリのためを思って閉じた扉を開いたのだろうか

 

節子はまたいつものニコニコ顔に戻った

そして最後にこう言った

 

「仕事を選ぶなら

自分よし

相手よし

世間よし

そして、相手にありがとうと言われる仕事をしなさい

サユちゃんの『こころ』が大切なら。」

 

最後までお読みいただきありがとうございます

こころが変われば世界が変わる

人生のこの瞬間に感謝を

 

「このストーリーはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。」

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