愛されて育った人が強い理由

芸術

だと思った!

つむぎっぽいね!

みんな『こころ』は愛がつまっている

道でたまたまかわいい散歩中の犬を見かける

犬好きにはたまらないですよね

ついつい笑顔で見送ってしまう

そう

みんな、誰だって愛することが『こころ』につまってます

その当たり前

人間同士ではうまくいかないって思ったりしませんか?

つむぎ、絵が大好き

つむぎは色で遊ぶのがとても好きな女の子だった

言葉で説明するより、紙にグチャグチャな何かを描いて両親に説明する

そんな子だった

『つむぎは絵の才能があるかも』

親は誰だって自分の子供のたぐい稀なる才能を信じます

自分たちの事はさしおいてなのはナイショです

生まれて初めて、虹を見る

夏のある暑い日

夕方に空が急に暗くなった

そしてバケツをひっくり返したような大雨が降った

しかし、夕立はそんなに長くは続かない

雲が晴れると西の空に太陽が顔を出す

雨が上がった東の空には大きな光のグラデーションが現れた

つむぎは生まれて初めて虹を見た

やりたいことを見守る、そして認める

つむぎは画用紙にいくつもいくつも虹を描いた

大きい虹、小さい虹、色がたくさんの虹

でもどれも納得がいかない

つむぎは虹を描きながら何度も窓越しに外を見る

ベランダにつながる窓ガラスに両手をつけてじっと空を見る

見た虹を思い出そうとしているのだろうか

また画用紙に向かう

そして窓ガラスをもう一度見る

「あっ!」

つむぎは驚いたようにガラス窓に近づく

ガラスにつむぎの手のひらの跡がくっきりと残っている

つむぎはクレヨンで窓ガラスに色を付けようとする

もちろんつかない

つむぎはショボンと淋しそうだ

母はガラスに塗れる画材を急いで買いに行くはめになった

 

お母さんが買ってきた画材を手に、つむぎは嬉しそうに窓ガラスに虹を描いた

仕事から帰ってきた父はビックリ

でも、両親は大いにつむぎの虹を褒めた

つむぎ、小学生になる

つむぎは小学生になった

テストの順位や運動の出来不出来

競争社会の入り口です

つむぎは相変わらずマイペース

みんなの競争なんてどこ吹く風

絵が大好きで、家でも学校でも絵をたくさん描いていた

『好きこそものの上手なれ』とはよく言ったものです

1年生の時に感覚で遠近法や影の使い方までなんとなく理解していた

学校で張り出される作品は同じ学年の中では群を抜いて上手でした

お友達も、つむぎの絵を見た他のご父兄もそのうまさにビックリしてます

つむぎ、スイミーのお友達を作る

『スイミー』 レオ=レオニ/作 谷川俊太郎/訳 好学社

皆さん、小学校の国語の教科書で『スイミー』という作品を覚えていますか?

スイミー - Wikipedia
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典より

担任の先生がこの話をもとにクラスのみんなに製作を提案しました

『スイミーのおともだち』

  1. 画用紙にスイミーのお友達の生き物を描いてやや大きめに切り取る
  2. 切り取った作品と同じように裏に合わせる画用紙を切る
  3. 二つを接着剤で張り合わせて中に綿を詰めて立体にする
  4. 裏ももちろん絵を描いてもOK

絵で立体製作をさせるとは小学校2年生には少し難しい気もします

さて、つむぎはどんな作品を作るのか

お父さんお母さん、授業参観でみんな集合

今日は授業参観です

ご父兄が大勢集まって子供たちの授業の様子を見学しています

授業の様子もそうですが、廊下に置かれた

『スイミーのおともだち』の展示もひときわ目立っていました

壁と机の上に大きな青い模造紙を広げています

壁には小さな赤い魚をたくさん作って切り絵を張った魚群は遠目には大きな魚でした

もちろん黒い目にあたる『スイミー』もいます

そして机の上の青い模造紙には子供たちが作った展示物が所せましとおかれています

色とりどりの大きな魚に小さな魚、クラゲ、エビ、カニ、カメ、貝、ちょとわからないものもあります

上手とは言えませんが、小学2年生らしい元気いっぱいの作品たちです

授業が終わって休み時間になります

子供たちは親御さんを引っ張って『スイミーのおともだち』を誇らしげに見せます

つむぎも両親を引き連れて展示物の前に

他のご父兄たちもつむぎの絵の上手さを知っています

他の父兄はどれがつむぎちゃんの作品か気になります

つむぎが手に取ったのは

つむぎ、ヒトデを作る

つむぎは大きな真っ赤な星が描かれたヒトデらしきものを手にとった

太い線だけで描かれたヒトデだった

太い筆で一気に『ひとふで書き』で星を描いたのがわかる

緻密に描くこともきっと出来たと思う

つむぎならもっと上手に描けたと思う

でも、つむぎはこう描きたかったのだ

それは強い生命力を感じさせる作品だった

両親はそれを見て目を丸くして大笑いした

つむぎも大笑いをしている両親を笑顔で見上げて嬉しそうだ

両親はつむぎの手にあるヒトデらしきものを指さし笑いながら言った

 

「だと思った!

つむぎっぽいね!」

 

愛され、すべてを認められ、人とくらべられる事がないままに育ったつむぎ

彼女の作品はどこまでも自由で、スイミーがいる大海原のようにふところが深かった

 

最後までお読みいただきありがとうございます

こころが変われば世界が変わる

人生のこの瞬間に感謝を

 

「このストーリーはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。」

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